VAIOは10月31日、創立10周年を迎え、記念モデルとなる「VAIO SX14-RX」を発表しました。SONYから独立してからすぐの時期はSONYのVAIOを継承したモデル展開でしたが、昨今は所有欲を満たす高品質なPCを販売していました。今回はその10周年モデルをチェックしていきます。
2014年に独立してから最初に発売したのは「VAIO Pro 13 | mk2」です。SONY時代の最後も「VAIO Pro 13」でしたが、これの改良版という位置付けからVAIOは再スタートを切りました。
かと言って全く同じモデルを出しても意味がないのですが、そこは独立したことで動きやすくなったVAIO、当時はHDMIだけでなくRGB端子によるモニター接続はまだまだ残っており、また、優先LANポートを追加した、法人向けモデルに特化した戦略を打ち立てました。
法人向けに特化していくという姿勢はハードだけでなく、VAIOのサポート体制にも現れています。
実はVAIOは開発・設計・製造の組織がすべて長野県安曇野市の本社工場に集中しています。すべての部署が近くにいて、何らかの決断もその場で完結するということは、営業から開発への連携もスムーズという利点があります。
例えば法人向けに出荷したPCに不具合があった際、営業が一次受けを行い、営業で回答ができない場合は開発へ連携してその原因を探ることになります。一般的にPCを開発・販売するということはそれなりに場所や製造に関する規模が大きいため、日本や世界各地に支社を設けて対応するのですが、そうなると営業から開発へ連絡とモノが渡るまでに時間がかかります。これをVAIOは「ダウンタイム」と呼び、一箇所集中のVAIOだからこそ当日中に連携し原因を探る作業に入ることができる、ということが実現できています。
会社が一体となって開発・設計・製造・販売・サポートを行っているというのが、顧客にはよく伝わる素晴らしい構造であると言えます。
2020年頃からcovid-19の感染拡大に伴い、多くの人はリモートワークを受け入れる必要が出てきました。VAIOはあまりPCでは見られないノイズキャンセリング機能を搭載し、リモート会議での快適さを追求し、好評を得ることができました。
また、PCはあくまで仕事用の作業道具という位置付けになることが多いですが、所有欲を満たす、ということを追求することを検討しました。わかりやすい目標で言えば「自宅などプライベートで利用するPCなのだから持っていて嬉しくなるもの」で、持っていることでやる気が出るような従業員満足に対するソリューションとしてカラー展開を行いました。
実際のカラー展開はPCに多い黒っぽいカラーだけでなく、「ファインホワイト」「アーバンブロンズ」「ファインレッド」を展開し、PCがPCっぽくないのに中身はモンスターという端末を作りあげ、これも好評でした。
改めて、VAIOは10月31日に「VAIO SX14-RX」を発表しました。スペック表だけ見ると正直他社PCも同じような構成だと思いますが、VAIOがそれだけで終わるわけはありません。まずは特徴的にカラー展開です。VAIOも以下の通りカラー展開を推しています。
また、SX14-RXだけでなく、自分がどのような色のPCが欲しいかで端末を決めるという取り組みも行なっており、特設サイトも作成されています。基本色は「ディープエメラルド」「アーバンブロンズ」「ファインブラック」「ブライトシルバー」の4色展開です。一般的なPCでも基本とされているブラックとシルバーはもちろん、「VAIO S13」や「VAIO SX12」などでも好評な「アーバンブロンズ」も展開しています。
また、「VAIO SX14-RX」で初めて展開されたグリーンカラーの「ディープエメラルド」が一際目を惹きます。
正直こんなPC見たことありません。発色の良いグリーン系に、ゴールドのフレームが相まって「あまりにも上品」。公式サイトではビジネスマンがバッグからこのディープエメラルドを取り出す1カット画像が掲載されているのですが、私がお客様の立場でこんなPC出てきたらびっくりすると同時に、品のある良い色、お金をかけていることへの安心感を感じそうです。もちろんビジネスマンから見ても話のタネになるのは間違いないでしょうから、そういった意味でもビジネスを前に進める力があるカラーだと筆者は思います。
先ほどの4色を基本カラーと呼んだのは、あと2色、特別なカラー展開があるからです。その一つが「ALL BLACK EDITION」です。
すべてを黒系でまとめたモデルです。天面のロゴは光沢のあるブラックの塗装で、キーボード面はうっすらと見える刻印レベルで黒に近づけています。ブラックは非常にシンプルながら、世の中で見るブラックは少しグレーがかっているものが多く、そうした意味でもブラックを追求した完璧なモデルです。
仕様としても、ディスプレイ全面をガラス一枚板で覆った「フラッシュサーフェスタッチディスプレイ(グレア)」を選択することができます。また、メインメモリー(LPDDR5X)は最大64GBまで選択可能、最大約16時間/約38時間(動画再生時/アイドル時)の連続駆動を実現する大容量バッテリー、Wi-Fi 7対応などビジネスだけでなくクリエイター向けとしても隙がありません。
ALL BLACK EDITION自体は他のモデルでも実現しているもので、もはや基本モデルと言っても良いかもしれませんが、その実、触ってみると基本カラーのものとは全く違った印象を受けるユニークなカラー展開です。
もう一つ、落ち着きを放つ「勝色特別仕様」が存在します。
VAIOが大事にしているコーポレートカラーである「深く濃い藍色」。古来の日本では、この色を「かちいろ」と呼びました。先ほどのブラックと異なり、落ち着いた雰囲気の中にある上品さと洗練された空気がその場を包みます。
細かな仕様はALL BLACK EDITIONと同様の内容を実現することができます。両者ともに、どちらのカラーでビジネスを共に歩んで行くか、自分のスタイルに合わせて選ぶことが成功に繋がるでしょう。
VAIO社独立の流れと、最新モデルの紹介をさせていただきました。仕様としてはディスプレイの比率が16:10に変更されていることも特徴で、本当に隙がありません。ぜひ店頭で触って欲しいです。案件とか中の人とかではないですが、スマホ以外でこんなに魅力的なPCはVAIOでしか出会ったことがありません。これからもVAIOはガジェッターだけでなく一般消費者も虜にしていくでしょう。