Arm社は2024年10月、Qualcomm社に対して「アーキテクチャライセンス」の取り消しを通告しました。この通告は、Qualcommが2021年に買収した米国企業Nuvia社の技術利用が契約違反とされることが原因です。Arm社は、Qualcomm社に対して契約内容の見直しを求める一方、両社の交渉は平行線をたどっています。契約が完全に解除されれば、スマートフォンやPC向けのQualcomm製品に大きな影響が及ぶ見通しです。
「アーキテクチャライセンス」とは、Arm社が持つCPUやGPUの設計技術を他社が製品開発に使用するための利用許諾です。Arm社はこのライセンス提供によって収益を得る一方、自社で製品を製造・販売するのではなく設計技術の提供に特化しています。対して、Qualcomm社はこのライセンスをもとにSnapdragonシリーズなどのSoC(System on a Chip)を設計・販売しており、製品化に重点を置いています。
両社はこの問題に対して異なる見解を示しています。Arm社は、Qualcomm社による「Oryon」コアの継続的な開発がライセンス契約違反だとし、通告から60日以内に是正が行われない場合にはライセンス契約の正式な解除に踏み切るとしています。Qualcomm社はこれに対して、Nuvia社買収に基づく契約引き継ぎが妥当であるとし、Arm社の主張を事実に基づかない強引な措置と見なして反発しています。
もし契約解除が成立すると、Qualcomm社はSnapdragonシリーズにおいてArm社アーキテクチャの利用ができなくなり、影響が避けられないと予測されています。スマートフォンやPC市場で広く使用されるSnapdragon搭載の製品には、特にPC向けのSoC「Snapdragon X Elite」などが含まれ、今後の製品開発や市場競争に影響を及ぼす可能性が懸念されています。